アーバン工芸のブログ

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革製品のトラブルとその対処法

革製品は長年にわたり愛用されることが多く、その独自の風合いや経年変化を楽しむことができるアイテムです。しかし、革は自然素材であるため、日常の使用や保管環境によってトラブルが発生しやすいという特性もあります。今回は、代表的な革製品のトラブルとその対処法、予防策について詳しく解説します。

1.革の乾燥とひび割れ

革は油分と水分を含んでおり、これが保持されている限り、柔らかさと美しい光沢が保たれます。しかし、直射日光やエアコンの風、乾燥した空気にさらされることで、革の表面が乾燥し、油分が失われると、硬くなりひび割れが生じることがあります。

対処法: ひび割れを防ぐためには、定期的な保湿ケアが重要です。革専用の保湿クリームやオイルを使用し、柔らかい布で優しくマッサージするように塗り込みます。この際、クリームを一気に塗らず、少量ずつなじませるようにすると、ムラが出来にくいです。また、クリームを使用する際は、革の種類に適した製品を選びましょう(例:スムースレザー、ヌバック、スエードなどに合ったもの)。

予防策: 保管場所にも注意が必要です。直射日光や湿度が低い場所を避け、適度な湿度(50〜60%)が保たれた通気性の良い場所に置くことで、乾燥を防げます。

2.水ぬれによるシミや色落ち

雨や水にぬれると、革は水分を吸収し、シミや色落ちの原因です。特に薄い色の革やデリケートな素材では、ぬれた部分が変色され、質感が変わることがあります。また、ぬれた革を急速に乾かそうとすると、乾燥によりさらに硬くなり、ひび割れが起こりやすくなります。

対処法: 革が水にぬれた場合、まずは柔らかいタオルで押さえるようにして、余分な水分を軽く拭き取ります。このとき、擦らないように注意しましょう。その後、自然乾燥させますが、直射日光やドライヤーの使用は避け、風通しの良い室内でゆっくり乾かすのが理想的です。乾燥後は、保湿クリームを再度塗布し、柔軟性を取り戻します。

予防策: 防水スプレーをあらかじめ使用することで、水ぬれやシミを予防できます。防水スプレーは革の呼吸を妨げず、保護膜を作るので、定期的なメンテナンスとして取り入れると良いでしょう。

3.色移りや摩耗によるダメージ

革製品は摩擦に弱く、特に薄い色の革製品は色移りしやすい傾向があります。また、長期間の使用によって、摩擦部分がすり減り、表面が薄くなることで革がダメージを受けることもあります。デニムや濃色の衣類との接触によって、革製品が汚れたり、逆に革の色が移る場合もあります。

対処法: 摩耗が進んで色落ちや傷が目立つ場合は、革専用の補色クリームを使用して色を補修します。補色クリームは革の色に合ったものを選び、少量を布に取り、円を描くように優しく塗り込みます。色移りが発生した場合は、革専用のクリーナーで表面を優しく拭き取り、補色クリームで補修します。

予防策: 長時間の摩擦や接触を避けるため、革製品の使用時には濃色の衣類との組み合わせを避けるか、保護カバーを使用することが有効です。また、保管時もデニムや濃い色の布と触れないようにすることで、色移りを防げます。

4.カビの発生

湿度が高い場所で革製品を保管していると、カビが発生することがあります。特に、日本の梅雨時期や湿度の高い環境では注意が必要です。カビが発生すると、見た目が悪くなるだけでなく、革の劣化を促進します。

対処法: カビが発生した場合、革専用のカビ取り剤やアルコールを薄めた液を使い、柔らかい布でカビ部分を優しく拭き取ります。その後、風通しの良い場所で乾燥させ、完全に乾いたら保湿ケアを行います。カビ取り後は革の油分が失われることがあるので、しっかりと保湿しましょう。

予防策: 湿度の高い時期には、革製品を通気性のあるカバーに入れ、湿気取り剤(シリカゲルなど)を一緒に保管することでカビの発生を防げます。また、定期的に風通しの良い場所で陰干しすることも有効です。

まとめ

革製品の魅力を長く保つためには、日々のケアとトラブル発生時の適切な対処が不可欠です。革製品の特性を理解し、乾燥、湿気、摩擦といった要因から守ることで、より長く美しい状態を保てます。革は使い込むほどに風合いが増し、個性が出る素材です。大切に手入れをしながら、自分だけの革製品を育てていきましょう。

このように、革製品のトラブルに対する具体的な対策や予防策を詳細に解説することで、読者に役立つ情報を提供できます。

監修者情報

監修者情報

内海 公翔(うつみ こうしょう) アーバン工芸株式会社 代表取締役

1953年創業のアーバン工芸株式会社。
香川県東かがわ市で革手袋製造企業として事業をスタートし、現在はレディース向けレザーバッグのOEMを中心に日々製造を行っております。
材料仕入れから製造、検品出荷までを一貫して行える生産体制、設備を保有しており、若手からベテラン職人までバランス良く在籍している会社です。
お客様のご要望を叶えるため、そしてこの場所でものづくりを続けていくため、これからも新しいアイデアで挑戦し続ける会社でありたいと思います。